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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

東京の土を踏んでドキドキと躍る心

注意して見ると、サッサとあるく時にもこの気持ちがある。要するに、腰から下の三段の関節に一種の締りが抜けた歩き方と云えば、あらかたわかると思う。

これは、「普通の家庭に育った少女の不良気分」が、歩き方に反映したものと思う。職業婦人のだともっと硬ばるか、ゾンザイに見えるかして、どちらかと云えば男性化した気分があらわれている。

あれが不良少女と、記者に指さし示された女学生は、一人を除いたあと全部が、この特徴を持ったあるき方をしていた。股をすぼめて恥かし気に歩いて、処女を気取る不良少女は一人も居なかった。

東京の土を踏んでドキドキと躍る心

大正十二年の秋以後、東京は特に夥しい人間を吸収した。その中にまじる少年少女は片端から不良化した。そうして本物の不良をドシドシ殖やした。

その順序を考えて見ることは、この稿の最重要な使命の一つと思う。

第一、田舎から出て来た少年少女は、永らく東京に住んでいる家庭の子女より堕落し易いというが、さもありそうに思われる。

少々惨酷な云い方ではあるが、しっかりした身よりがあって東京に来たのは別として、只無暗に東京にあこがれて吾家を飛び出したりするのは、東京に着かぬ前から不良性を帯びていると云っていい。