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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

苦学成功の油断から

又は新智識を衒って雑誌や新聞の受け売りを吹く。女を見ては色眼を使う。

それが学生だというので、ドンドン通ったり、モテたりすると、世間はこんなものかと思われて来る。

図々しい奴は実社会に応用し始める。一度二度と成功すると、いつの間にか学校糞を喰らえで純粋の不良になってしまう。侮辱していると云う人があるかも知れぬが事実である。その筋に睨まれた不良にはそんなのが多いから困る。

苦学生のは又違う。

彼等は何でも成功しようと思って東京に来るのであるが、案外うまく行かないとジリジリする。世間の冷たさが骨身にこたえる。自分の青春が見る見るイジケて行くのがわかる。とうとう我慢し切れなくなって、「成功」と「享楽」の「早道」に這入る。とうとうしまいには「成功」の方を忘れてしまって、「享楽」だけを追いまわし始める。それでおしまいである。

苦学成功の油断から

反対に苦学に成功した場合でも堕落する可能性がある。

苦学に成功すると独立独歩で、誰も八釜しく云う者が無い。つい慰安の意味で遊んで見る。忽ち苦学では追付かなくなる。

さもなくとも初めから成功が目的だから、喰えさえすれば学校なんぞはどうでもいい。