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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
」
と、先に立って街角をまがった。
少佐の住居は、古風なこの町の建物にしては珍らしく洋間のついた家だった。次郎はすぐその洋間に通された。彼は個人の家の洋間などまだ一度も中にはいって見た経験がなかったので、ちょっとまごついた。入口に棒立になって室内を見まわしていると、少佐は上衣をぬいで長椅子にほうり投げながら言った。
「窓ぎわがすずしくていい。その籐椅子にかけたまえ。」
それから、奥の方に向かって、
「おうい、学校の生徒さんだ。何かつめたいものを持ってこい。」
と、大声で叫んだ。
次郎は言われるままに少佐と向きあって籐椅子にかけたが、その部屋にまだなれないせいもあって、よけいに落ちつかない気持だった。
彼は一わたり室内を見まわした。セットや装飾品のよしあしは彼には皆目見当がつかなかったが、それでも何かまぶしいような感じをうけた。そして、これまで訪ねた中学校の先生たちの貧乏ったらしい家の様子にくらべて、何というちがいだろう、学校の先生と軍人とでは、こんけにも生活にひらきがあるのだろうか、と思った。
「君、上衣をぬげよ。あついだろう。」
少佐が言った。
「僕、シャツを着てないんです。