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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

一五 明暗交錯

みんなが一度にふき出した。次郎は、しかし、ちょっと苦笑しただけで、またすぐ眼をふせた。

一五 明暗交錯

翌日、学校では、もう朝から、朝倉先生が駅で憲兵に取調べられたことや、次郎が駅からの帰りに曾根少佐に呼びつけられたことなどが、生徒間の噂の種になっていた。そしてその原因が、白鳥会員だけで催された朝倉先生の「秘密な」送別会にあったということは、一部の生徒の次郎に対する淡い反感の種になっているらしかった。

「白鳥会で朝倉先生を独占しようなんて考えるのが、第一まちがっているよ。」

「本田は、はじめっからそんな考えでやっていたにちがいないんだ。血書を書いたことだって、新賀のほかには誰も知ったものはいなかったんだろう。」

「要するに今のさわぎは白鳥会のために起ったようなものさ。」

「白鳥会のためならまだいいが、本田個人のためだったんじゃないかな。」

「そんなことを考えると、何だかばかばかしくなって来るね。」

「しかし、もうすんだことだ。それに、あと始末は本田がひとりでつけるだろう。」

「はっはっはっ。」

そんな会話も取り交わされていた。

午ごろになって、職員室の掲示用の黒板に、つぎの文句が記されていた。