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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
八 水泳
彼も、さすがにはっとしたように、椅子から立ち上って窓ぎわに行った。そして、腕組をして三人の様子を見まもりながら、何度も首をかしげた。
八 水泳
「もうこうなれば、朝倉先生の辞職は一日も早く発表される方がいいと思うよ。」
次郎は、まだ興奮からさめきらない眼で、じっと空を見つめながら言った。
一心橋から二丁ほど北に行ったところに、とくべつ大きい黒松が根をはっており、その根の一部をそぎおとして、流れの方に斜めに道がついているが、そこは馬の水飼場になっている。次郎たちは、その水飼場のおり口の熊笹の上に仰向けにねころんで、何か思い出しては、ぽつりぽつりと口をききあっていた。やはり次郎がまん中で、新賀が右から、梅本が左から、たえず次郎の顔をのぞくようにしている。
「そうだ。そうなると、やつらのストライキの口実もなくなるんだ。」
梅本が言うと、
「しかし、しゃくだなあ。」
と、新賀は両手の拳を力一ぱい空につきあげた。
三人はそれっきり默りこんだ。
松の梢にかすかに風が鳴っているのが、雲の音のように遠くきこえる。次郎は相変らず空の一点に眼をこらしていたが、
「ほんとうは、僕、ストライキがやってみたくなったんだよ。