轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

かすかに煙突と帆柱が揺れているのが、月の位置で判る。その煙突がくろぐろと煙を吐いている。朝鮮に行くんだと思ったね。いや。自分だけじゃなく、召集された者は皆」

「がっかりしただろうね。台湾じゃなくて」

「がっかりなんてもんじゃない。防寒被服を支給されたから、台湾じゃないことは判っていた。不安な気分と悲壮な感じ。北方に行って、もう生きてこの海を戻って来れないような気がしたね」

船は朝鮮に向っているのではなかった。朝鮮ならもう着いている筈なのに、まだまだ煙を吐いて進んでいた。どこに連れて行くのだろう。船艙に閉じ込められているので、視覚的には夜も昼も判らない。時計を見て、今は何時だと思うだけである。その時計での夜の明け方、へんな音が船艙に響き始めた。初めは弱く、しだいに強まって、バリンバリンと船艙の空気を慄わせた。

「何だろう」

「何の音だろう」

加納たちはささやき合った。戦争の音じゃないことは判っていたが、何の音か知れないことが不安であった。

やがて船は停止した。彼等は着ぶくれた油虫みたいに、ぞろぞろと上甲板に這い出した。そして皆、あっと驚いた。海が一面に凍結していたのだ。