轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
大同を出発すると、見渡す限り砂漠で、砂丘また砂丘です。それに何てえか、蒙古嵐というやつがびゅんびゅん吹きすさんでいる。時々山みたいな風景のところに差しかかると、分遣隊があるんですよ。二、三十人ぐらいの人員で守っている。よく来たな、ご苦労さんご苦労さんと、熱い茶などを接待して呉れたりするんだ。結局大同から左雲まで、七、八時間ぐらいかかった。距離的にもものすごい山の中に入ったわけですな」
「心細かっただろうね」
「そりゃそうですよ。矢木君も言ってたね。もしここで包囲されて襲撃されたら、生きちゃ帰れないなってな。トラックで八時間もかかるところだから、走って逃げるわけには行きませんや」
「その左雲に部隊があったんだね?」
「そうです。そこらが第二大隊の警備地区になっていて、左雲に大隊本部があった」
栄介は海面を眺めながら、広漠とした砂漠の中を列をつくって進んで行くトラック隊や、吹きすさぶ嵐や、左雲の街の状況を想像していた。しかし眼に見えるようにうまくは想像出来なかった。時間的に考えると、彼はその頃まだ家にいて、たしか毎日釣りをしていた筈で、近くの沼で鮒などを釣っていたに違いない。