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ごくちゅうせいかつ
獄中生活
堺 利彦
「楽天囚人」1911(明治44)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,443 字 · 31 页
何にせよ運動は一日中の一大愉快で、雨の三日もつづいた揚句は殊にそうだ。
運動後はまた、馬鹿話やらいねむりやらで夕方になる。「もう何時だろう」「今の看守の交代が四時半だろう」「じゃあモウ三十分で飯だ」などという問答は、たいがい毎日同じように繰返される。それから「僕はあとがタッタ百三日だ。わけはない」「乃公は今日がちょうど絶頂だ、明日から下り坂だ。タワイない」「君はモウ一週間で出るのだな」などと、たいがい毎日刑期の勘定がある。
夕飯後にまた点検があって、安坐鈴が鳴る。薄暗い電灯がとぼる。それから二時間ばかりまた退屈すると、八時になって就寝鈴が鳴る。そら来た!と大騒ぎで柏餅がゴロゴロと並ぶことになる。これがまあザット一日の生活だ。ある夜、夜中に目がさめて左のごとき寝言ができた。
隣室の鼾に和して蛙鳴く
紫の桐花の下や朱衣の人
桐の花囚人看守曽て見ず
行く春を牢の窓より惜しみけり
永き日を「御看守様」の立尽す
正坐しても安坐しても日の長き哉
永き日をコソコソ話安坐する
夕ざれば監房ごとの放屁かな
正坐して自慢の放屁連発す
寂しさに看守からかう奴もあり