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ごくちゅうせいかつ

獄中生活

堺 利彦

「楽天囚人」1911(明治44)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,443 字 · 31 页

青空文庫

一〇 食事当番

手紙は大概のものは見せられる。百穂君の絵葉書だけは一枚きりしか見せられなんだ。それから中村弥二郎君が予の無聊を慰めんとて、昔話を書いた葉書を寄こされたが、それは「不得要領につき不許」という附箋がついて、出獄のときに渡された。獄中ではただ無事(或は単調)に苦しむのであるから、手紙、面会、入浴、散髪、運動等、何でも少し変ったことがあれば非常に愉快に感ずる。

一〇 食事当番

今一つ気ばらしになったことは、四五日ぶりに一度ずつ食事当番がある。他の監では役夫というものがあって、それが食事の世話やら掃除やらするのであるが、我々の監には無定役囚が多いので、別に役夫はおかずに、その無定役囚の中から、代り代り食事の当番を出すことになっていた。

当番は二人あるいは三人で、まず炊所から運んで来た飯や菜を盛りわけて膳立てをする。鐘が鳴るとそれを各房に配る。食事がすむとあと片づけをする。水を汲んで来て膳碗を洗う。洗物がすむと廊下を掃く。それを一日に三度繰返すのでなかなか風流なものです。まだそれから食事の世話のほかに、流し口の掃除、裏庭の草取りなど、やらせられるときもある。存外おもしろいものです。