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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

佐山 僕あ、この――なんですよ? (変な顔をして身を引く)

村子 だ、だから……(しがみついて行く)

佐山 フフ! フ! (これは全く正気の笑いである)いいんだ、いいんだ。(身を引いて、村子の頭でグリグリやられた股のところに片手をやって、破れたサルマタをひっぱりおろす)

村子 ……?

佐山 くすぐったい――(引っぱりおろしたサルマタが、ビリビリと破れる)

村子 (その男の肌を見てしまって)あら!

佐山 いや――(この男に残っていた羞恥心が、はじめて表に出て来て、破れて腰のまわりにさがっていたズボンのきれを、あわてて引っぱって、股を蔽う)

村子 すみません。……(その言葉も、それから同時にポッと顔を紅くしたハジライも、まるで十七八の娘のそれであって、この女から、しかもこのような場合に、全く予期することのできなかったものである。……そして二人とも、これをキッカケに頭がハッキリして来たらしい)

(……そのあいだも、花岡の下半身は、穴の中で時々動いている。……佐山と村子は互いに視線をそらしたまま……間)

佐山 フ、フ……(正常な自嘲の笑い)

村子 ……どうなすったの?

佐山 いや、どうも、ヘンなもんだと思いましてね。