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わかきひのせっつのかみ
若き日の摂津守
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1958(昭和33)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,437 字 · 47 页
農作と漁猟を兼ねていたが、五年まえ、藩侯の猟場として「お止め場」に指定され、五十余戸ぜんぶが立退きを命ぜられた。――お止め場は重臣の直轄となり、郡奉行の支配で、その許しを得なければ、立入ることができなくなった。土地を追われた五十余戸のうち、十戸ばかりは他へ移住したが、残りの四十余戸はこの伊部村へ仮小屋を建て、その日ぐらしの生活を始めた。そこは瑠璃光寺の寺領で、地代なども不要だったし、鴨の猟期には猟人の役を命ぜられるため、一戸について十俵から十五俵までの米が給されたから。それともう一つ、かれらは何代もその土地に住んでいたので、大沼のそばをはなれることができないのであった。
「賀名川のほうにも同じようなことがありますよ」と老婆は続けた、「賀名川と安井川と合わさるところに幡野という村がありますがね、そこも五年まえ鮎漁のお止め場になって、川筋で稼いでいた人たちが、四十家族も立退かされましたよ、ええ、その人たちもやっぱり似たりよったりで、平取というところで小屋住いをし、鮎漁になるとお役に出て、人数だけの米を貰ってやっていますよ」
「その、お止め場というのは」光辰は少し考えていて訊いた、「ここの領主のために使われるのか」