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ふとん

蒲団

田山 花袋

「新小説」春陽堂書店、1909(明治40)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,870 字 · 90 页

青空文庫

「今朝、ちょっと中野の方にお友達と散歩に行って来ると行って出たきりですがね、もう帰って来るでしょう。何か用?」

「え、少し……」と言って、「昨日は帰りは遅かったですか」

「いいえ、お友達を新橋に迎えに行くんだって、四時過に出かけて、八時頃に帰って来ましたよ」

時雄の顔を見て、

「どうかしたのですの?」

「何アに……けれどねえ姉さん」と時雄の声は改まった。「実は姉さんにおまかせしておいても、この間の京都のようなことが又あると困るですから、芳子を私の家において、十分監督しようと思うんですがね」

「そう、それは好いですよ。本当に芳子さんはああいうしっかり者だから、私みたいな無教育のものでは……」

「いや、そういう訳でも無いですがね。余り自由にさせ過ぎても、却って当人の為にならんですから、一つ家に置いて、十分監督してみようと思うんです」

「それが好いですよ。本当に、芳子さんにもね……何処と悪いことのない、発明な、利口な、今の世には珍らしい方ですけれど、一つ悪いことがあってね、男の友達と平気で夜歩いたりなんかするんですからね。それさえ止すと好いんだけれどとよく言うのですの。