轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふとん

蒲団

田山 花袋

「新小説」春陽堂書店、1909(明治40)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,870 字 · 90 页

青空文庫

で、芳子は殆ど喧嘩をするまでに争ったが、矢張断として可かぬ。先生を頼りにして出京したのではあるが、そう聞けば、なるほど御尤である。監督上都合の悪いというのもよく解りました。けれど今更帰れませぬから、自分で如何ようにしても自活の道を求めて目的地に進むより他はないとまで言ったそうだ。時雄は不快を感じた。

時雄は一時は勝手にしろと思った。放っておけとも思った。けれど圏内の一員たるかれにどうして全く風馬牛たることを得ようぞ。芳子はその後二三日訪問した形跡もなく、学校の時間には正確に帰って来るが、学校に行くと称して恋人の許に寄りはせぬかと思うと、胸は疑惑と嫉妬とに燃えた。

時雄は懊悩した。その心は日に幾遍となく変った。ある時は全く犠牲になって二人の為めに尽そうと思った。ある時はこの一伍一什を国に報じて一挙に破壊して了おうかと思った。けれどこの何れをも敢てすることの出来ぬのが今の心の状態であった。

細君が、ふと、時雄に耳語した。

「あなた、二階では、これよ」と針で着物を縫う真似をして、小声で、「きっと……上げるんでしょう。紺絣の書生羽織! 白い木綿の長い紐も買ってありますよ」