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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

新聞記者が悪いとは決して仰有らない。

結婚は新聞の記事か雑誌の口絵で見るものと思っていたら、つい鼻の先に一つ出来かけているのには驚いた。僕も案外迂濶だ。芳夫さんが才子で絹子さんが佳人である。一方は嫁を探していること、四谷の伯母さんが、

「嫁でも貰ったら少しは落ちつきましょうと思って心掛けているんですが、ナカナカ好いものはないものね。帯に短し襷に長しって、全く真正でございますよ」

と仰有ったのでも分る。もう一方は又縁談の心組で上京している。少時預かってくれと言って来たのはその為めだ。芳夫さんのお父さんは次期落選保証つきだそうだが、兎に角市会議員という肩書がある。絹子さんのところは県下でなくて村下切っての素封家だ。斯う資格の揃った二人が芽出度い節分の晩に顔を合せたのみならず、豆を拾いながら少時離れられないように絡み合ってしまったのだから、双方とも考えたに相違ない。以来何うやら話が始ったのらしい。あれから間もなく四谷の伯母さんがお出になった。芳夫さんも一度やって来た。芳夫さんは職業の問題で頭を悩ましている時の外は顔を見せない。しかし節分の晩の話によると、その方はもう完全に解決がついている。