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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页
病める孔子と子路
に依つた。論語の中には、「※(「凹/儿」、第3水準1-14-49)に匪ず虎に匪ず」以下の問答は全く見出せない。)
病める孔子と子路
子疾病なり。子路祷らんことを請う。子曰く、諸ありやと。子路対えて曰く、之あり。誄に曰く、爾を上下の神祇に祷ると。子曰く、丘の祷るや久しと。――述而篇――
さすがに元気な子路も、今日はぐったりと椅子によりかかって、物思いに沈んでいた。
孔子が病床について以来、彼は殆どつきっきりで、夜の目も寝ずに看護をして来た。もうそろそろひと月にもなろうというのに、病勢はただつのる一方である。ことに、この二三日はめっきり衰弱が眼に立って来た。昨夜の容態など、どうもただごとではなかったようだ。
(もしや……)
と思うと、子路はもう呆然として、何もかも手につかなくなってしまうのである。
彼は、次の間に退くと、しばらく気ぬけがしたように、ぼんやりと天井の隅を見つめていた。病室からは、おりおり門人たちのかすかな囁きが聞える。彼は気が遠くなって、何だか自分が死んででも行くような気がし出した。
(どこまでも先生のお伴がしたい。)
彼は、その時しみじみとそう思った。