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まけないおとこ

負けない男

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页

青空文庫

相手によっては然るべく提燈記事を書いてやる必要がある。しかし部長がそんなことにかゝり合っていては仕事が出来ない。招待状は日に幾口も来る。その為めの常備軍かも知れない。即ち部長は常備のものに、

「おい。君は閑のようだから、これで一片食稼いで来給え」

と招待状を渡す。

「行って参ります」

と唯の種取りよりは当てがあって宜しい。化粧品の売弘めなぞに当ると、御馳走の外にお土産がつく。堀尾君はそれを道子さんのところへ持ち込んで、

「新聞記者って矢っ張り役得のあるものね」

と褒められた。

「何処かのダイヤモンド屋で招待してくれると宜いんですがね」

「まあ! 慾張っていらっしゃること」

「ハッハヽヽ、又貰ったら寄ります」

と例によって有らゆる出来事を訪問の切っかけに利用する。

或日、堀尾君は、

「三輪さん、宴会は僕が一番多いようですね」

と話しかけた。

「然うですね。一日置きですか?」

「いや、それ以上です。他のことに使えないから、宴会へ廻すんじゃないでしょうか?」

「学校出は世間慣れるのが一修業です。僕は入社当時は十日宴会が続きましたよ」

「はゝあ」

「部長が言っていましたが、等しく宴会へ出ても本社の某という印象を充分先方へ与えて来るものもあれば、他の社の奴等に押されて存在を認められないでしまうのもあるそうですから、成るべく頑張らなければ