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てんき
転機
伊藤 野枝
「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页
本流の河水の停滞は支流の渡良瀬、思等の逆流となって、その辺の低地一帯の氾濫となるのであった。そこでその河水の停滞をのぞくために、河底をさらえるということ、その逆流を緩和さすための貯水池をつくることが最善の方法として選ばれた。そして渡良瀬、思の両川が合して利根の本流に落ちようとする処、従って、いつも逆流の正面に当って一番被害の激しい谷中村がその用地にあてられたのである。土地買収が始まった。躍起となった反対運動も、何の効も奏しなかった。激しい反対の中に買収はずんずん遂行された。しかし、少数の強硬な反対者だけはどうしても肯んじなかった。彼等は祖先からの由緒をたてに、官憲の高圧的な手段に対しての反抗、または買収の手段の陋劣に対する私憤、その他種々なからみまつわった情実につれて、死んでも買収には応じないと頑張った。大部分の買収を終わって、既に工事にかかった当局は、この少数の者に対しては、どうしても、土地収用法の適用によって、他に立ち退かすより他はなかった。そこで、その残った家の強制破壊が断行された。
「その土地収用法というのはいったい何です?」
「そういう法律があるんです。