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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
「お前がいう通り、お栄は性根の太い女なら、何んだって三年の間半兵衛のところに一緒にいたんだ。親娘ほど年が違う上に近ごろでは唯の質屋の亭主じゃないか。力づくでも金づくでも、お栄のような浮気者を引っつけては置けなかったはずだ」
平次はいよいよ大事な問いに辿り着いたのです。
「三年と申しても、一昨年の暮からですから、正味一年半ぐらいのものでございます。それに、お栄は何にか見込んだ山でもあったのでございましょう、何にかの折に顔を合せると、――親方何時までケチな芸人暮しをしているんだ、私などは近いうちにまとまったものを握る当てがあるから、しばらくあの陰気臭い半兵衛のところに我慢しているが――などと申しておりました」
「まとまったものとはなんだ」
「そこまではわかりませんが、兎に角たいした鼻息でございました」
これだけではたいして要領を得ませんが、お栄が近江屋半兵衛のところにいたのは、恐らく一万二千両の御用金に関係するだろうことは、最早疑いの余地もありません。
「親分、このまま帰るんですか」
明石五郎八の家を出ると、八五郎は不足らしく平次に突っかかるのでした。
「あの狭い家だ、何処へも人間一人隠せないよ。