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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
ひょっとこ面
平次はそれを見送ると、一応塔の扉を閉めて先刻落し込んだ金環を拾い上げます。
見ると、扉のあなから滑り落した環は途中のこぶに引っ掛って桟を外し、扉はわけもなく開くような仕掛けになって居るのです。五重の塔を住家にして、こんなに簡単で、そして効果的な仕掛けをこしらえるのは容易の相手ではありません。
二階と一階の間にははしごがなく振り仰ぐと二階へ登り口のあなから、遙かに遙かに高く、五重の塔の雄大な木組が見えて、二階から上は、立派なはしごが掛って居る様子です。恐らく塔の管理者が、子供の悪戯や、こじきなどの寝泊りを防ぐために、一階から二階へのはしごを引いて置くのでしょう。
平次はしばらくながめて居ましたが、懐ろから手拭を取出すと、その先に結び玉をこしらえて、二階の穴から顔を出して居る、木組の間へポンと投り込みました。引き試みると、手拭の先は巧みに掛って丁度いい手掛りになります。
ひょっとこ面
二階にも埃がうず高く積って、人の足跡が縦横に入り乱れております。平次は併しそんなものには眼もくれず、三階へ、四階へと極めて無造作に登って行きました。
やがて五重の塔の一番上へヌッと顔を出しましたが、そこには予期しただれもいません。