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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
何時までもそんなで――」
女は少年を突き放すと、受け取った鍵を、厳重なお蔵の錠前に差し込むのです。
「皆んなは?」
「待っているよ」
「一つが十貫目もあるんだから、二人で一と箱づつ運ぶが良い。有難いことに海が鼻の先だから、船に積んでしまえば、上総房州までも一と息に持って行かれる。頼むよ」
「あいよ」
闇の中から出て来た五、六人の男、この暑いのに念入りに覆面したのが、蔵の中から五つの二千両箱を取り出して、さながら蟻が餌を運ぶように、黙々として運んで行くのです。
「いや、もう大笑いだよ、親分」
八五郎が明神下の平次の家へ飛び込んで来たのは、その翌る日の朝の卯刻半(七時)前でした。
「縁起がよくて、お前は幸せだよ。朝っから大笑いなんか持込みやがって」
寝足りない顔の銭形平次は、猿屋の総楊枝をくわえたまま、椽側に立ってぼんやり狭い庭の朝をながめているのでした。
「いやもう親分、大笑いのコンコンチキさ。相手はどんな術で来たと思います、親分」
「おれはそれを考えて、ゆうべはまんじりともしなかったのさ。組屋敷の門内で仕事をしなきゃ、市ヶ谷の尾州様上屋敷へ荷がついてからだろう」