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ようきなきゃく
陽気な客
山本 周五郎
「苦楽」苦楽社、1949(昭和24)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,086 字 · 46 页
「きみもサラリが少のうて済まんけど、まあもうちっとのま辛抱してえや、わいもいつまでこんなやくたいもないことしていやへん、いずれ近いうちに、……まそれは云わん、今はまだ云わんけどやね、きみの将来はわいが承知したるね、いまにきっときみにもひと花咲かしたるよって……」
だがそこでもまた社長は足をすくわれた。市のほうでは寄付を受けたものの雑誌の内容には注意しなかったらしい、古雑誌ならまあ、養老院とか孤児院とかいった関係へ配ればいい位の感じだったらしいんだ。ところが受取った現物をみて狼狽したさ、親は子に隠し子は親に隠さなくては読めない雑誌なんだ、市当局という立場としてはとうてい関係方面へ配れるわけのもんじゃない。いろいろ会議があったものか、それともそんなものなしだったか想像外のことだが、一週間ばかりすると社へ小使が来て、そのような雑誌の寄付は受付けるわけにいかない旨を述べ、なお即刻こちらへ引取るようにと云って帰った。……そのとき社長が留守だったんで妻君が用件を聞いたということは現実の悲哀じゃないか。そして直ちに、正確に云うとその翌朝、おれが社へ出たときすでに。