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ゆき
雪
中谷 宇吉郎
「雪」1938(昭和13)年 11月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页
この頃までの雪華の観察は、肉眼でなされたかあるいは簡単な虫眼鏡でされたのであるが、十七世紀後半において、顕微鏡の発明が全ての学問的研究に一大飛躍を齎したと同時に、雪華の研究も長足の進歩をしたことはいうまでもない。一六六五年かの細胞の発見者として有名なロバート・フックが『ミクログラフィア』なる書物を著し、顕微鏡で見た種々の図を掲げ当時の学界の注意を惹いたが、その中に雪や霜などの結晶の模写も発表している。そして彼は星状の雪の結晶では、軸から分岐する小枝はすべて隣の軸と平行せるものであることを発見し、従来の観察が誤りであることを知らしめたのであった。
一六七五年にはドイツの旅行家フリードリヒ・マルテンスが、スピッツベルゲンからグリーンランドの方面に航海した見聞記を刊行している。この中で彼は極地方面での雪の観察を記載しているが、彼の功績は、結晶形と天候との関係についての観測結果に論及していることである。
一六八一年にはリヴォルノの僧侶で数学者のドナト・ロセッティが、その著 La figura della neve において、六十箇の雪華を描いてこれらの結晶を五種類に分類している。