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かぜ
風
壺井 栄
「文芸」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 页
「まるで、やくざとおなじじゃないか。俺はいっさい抵抗しなかったよ。Uの奴、なぐっておいて、『これがおれたちの運動だ! おぼえとけっ。』ていったよ。それを聞いたらおれ、すうっとしたね。勝った! と思ったよ。」
「こわいわねえ。」
「ただね、心外なことが一つある。秘密だった場所が、なぜ黒連の連中に知れたか、だよ。――Aの奴が通謀したんだよ、きっと。」
「HさんやOさんたち、知らなかったの。そして、とめてくれなかったの。」
「ああ、みんな、ぽかんとしてみてたよ。友情なんてものも、頼りないものさ。しかし、とつぜんのことだから、HもOもGもびっくりしてしまって、手が出なかったということもある。うっかりとめて、きさまも一味か、なんていわれんともかぎらんしね。黒連が引きあげてからも、しばらくは、ぽかんとしていたよ。」
「でもまあ、死ななくて、よかったわ。」
翌日の夕方、操子は買物ふろしきを持って見舞いによった。泣きそうな顔で、
「いやねえ。Mさんたち、今日、わたしんとこへ来てるもんだから、H、お見舞いにもこられないのよ。おっかないわ、あの人たち。」
彼女が帰ってゆくと、修造は、