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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页

青空文庫

七

あッというて飛退いたが、それも隠れた。三度目に出会ったのが、いや急には動かず、しかも胴体の太さ、たとい這出したところでぬらぬらとやられてはおよそ五分間ぐらい尾を出すまでに間があろうと思う長虫と見えたので、やむことをえず私は跨ぎ越した、とたんに下腹が突張ってぞッと身の毛、毛穴が残らず鱗に変って、顔の色もその蛇のようになったろうと目を塞いだくらい。

絞るような冷汗になる気味の悪さ、足が竦んだというて立っていられる数ではないからびくびくしながら路を急ぐとまたしても居たよ。

しかも今度のは半分に引切ってある胴から尾ばかりの虫じゃ、切口が蒼を帯びてそれでこう黄色な汁が流れてぴくぴくと動いたわ。

我を忘れてばらばらとあとへ遁帰ったが、気が付けば例のがまだ居るであろう、たとい殺されるまでも二度とはあれを跨ぐ気はせぬ。ああさっきのお百姓がものの間違でも故道には蛇がこうといってくれたら、地獄へ落ちても来なかったにと照りつけられて、涙が流れた、南無阿弥陀仏、今でもぞっとする。」と額に手を。

七

「果が無いから肝を据えた、もとより引返す分ではない。旧の処にはやっぱり丈足らずの骸がある、遠くへ避けて草の中へ駈け抜けたが、今にもあとの半分が絡いつきそうで耐らぬから気臆がして足が筋張ると石に躓いて転んだ、その時膝節を痛めましたものと