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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页

青空文庫

十六

(失礼、)

(いいえ誰も見ておりはしませんよ。)と澄して言う、婦人もいつの間にか衣服を脱いで全身を練絹のように露していたのじゃ。

何と驚くまいことか。

(こんなに太っておりますから、もうお愧しいほど暑いのでございます、今時は毎日二度も三度も来てはこうやって汗を流します、この水がございませんかったらどういたしましょう、貴僧、お手拭。)といって絞ったのを寄越した。

(それでおみ足をお拭きなさいまし。)

いつの間にか、体はちゃんと拭いてあった、お話し申すも恐多いが、はははははは。」

十六

「なるほど見たところ、衣服を着た時の姿とは違うて肉つきの豊な、ふっくりとした膚。

(さっき小屋へ入って世話をしましたので、ぬらぬらした馬の鼻息が体中にかかって気味が悪うござんす。ちょうどようございますから私も体を拭きましょう。)

と姉弟が内端話をするような調子。手をあげて黒髪をおさえながら腋の下を手拭でぐいと拭き、あとを両手で絞りながら立った姿、ただこれ雪のようなのをかかる霊水で清めた、こういう女の汗は薄紅になって流れよう。

ちょいちょいと櫛を入れて、

(まあ、女がこんなお転婆をいたしまして、川へ落こちたらどうしましょう、川下へ流れて出ましたら、村里の者が何といって見ましょうね。