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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页

青空文庫

十三

(貴僧、ここから下りるのでございます、辷りはいたしませぬが、道が酷うございますからお静に、)という。」

十三

「そこから下りるのだと思われる、松の木の細くッて度外れに背の高い、ひょろひょろしたおよそ五六間上までは小枝一ツもないのがある。その中を潜ったが、仰ぐと梢に出て白い、月の形はここでも別にかわりは無かった、浮世はどこにあるか十三夜で。

先へ立った婦人の姿が目さきを放れたから、松の幹に掴まって覗くと、つい下に居た。

仰向いて、

(急に低くなりますから気をつけて。こりゃ貴僧には足駄では無理でございましたかしら、宜しくば草履とお取交え申しましょう。)

立後れたのを歩行悩んだと察した様子、何がさて転げ落ちても早く行って蛭の垢を落したさ。

(何、いけませんければ跣足になります分のこと、どうぞお構いなく、嬢様にご心配をかけては済みません。)

(あれ、嬢様ですって、)とやや調子を高めて、艶麗に笑った。

(はい、ただいまあの爺様が、さよう申しましたように存じますが、夫人でございますか。)

(何にしても貴僧には叔母さんくらいな年紀ですよ。まあ、お早くいらっしゃい、草履もようござんすけれど、刺がささりますといけません、それにじくじく湿れていてお気味が悪うございましょうから。