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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页
二十一
なるほどこの少年はこれであろう、身体は沢庵色にふとっている。やがてわけもなく餌食を平らげて湯ともいわず、ふッふッと大儀そうに呼吸を向うへ吐くわさ。
(何でございますか、私は胸に支えましたようで、ちっとも欲しくございませんから、また後ほどに頂きましょう、)
と婦人自分は箸も取らずに二ツの膳を片づけてな。」
二十一
「しばらくしょんぼりしていたっけ。
(貴僧、さぞお疲労、すぐにお休ませ申しましょうか。)
(難有う存じます、まだちっとも眠くはござりません、さっき体を洗いましたので草臥もすっかり復りました。)
(あの流れはどんな病にでもよく利きます、私が苦労をいたしまして骨と皮ばかりに体が朽れましても、半日あすこにつかっておりますと、水々しくなるのでございますよ。もっともあのこれから冬になりまして山がまるで氷ってしまい、川も崕も残らず雪になりましても、貴僧が行水を遊ばしたあすこばかりは水が隠れません、そうしていきりが立ちます。
鉄砲疵のございます猿だの、貴僧、足を折った五位鷺、種々なものが浴みに参りますからその足跡で崕の路が出来ますくらい、きっとそれが利いたのでございましょう。