轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぎょもん

魚紋

吉川 英治

「冨士 臨時増刊号」1936(昭和11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,582 字 · 30 页

青空文庫

二

『……駄目だ、昼間は』

勿論、昼間行動できない事は考えていたので、用意の為、袂に入れて来た白い碁石を、彼は、金の沈んでいる附近へ、夜の目印の為、ザラザラと船べりから撒いた。

そして、何食わぬ顔して、永代橋の下を漕ぎ戻ってくると、

『山岡屋、山岡屋』

欄干の上から呼ぶ者がある。

ハッと、彼は、薊の顔を思い出した。だが、橋を片手に、仰向いてみると、それは芳五郎ではなくて思いがけない外科医の玄庵だった。

『お、先生ですか、どちらへ』

『おまえこそ、何をしているんだ。だいぶ熱心らしいが』

『――お天気がよいので、気散じに、雑魚でも釣ろうと思いましてね』

『うそを云え、雑魚ではあるまい』

『えっ』

『聞いたぞ』

『だ、だれに』

『まあいい』

『先生っ、ちょっと、話がありますから、待っておくんなさい』

あわてて、船を岸へ寄せ、山岡屋は陸へ飛び上ってみたが、もう玄庵のすがたは、橋の上に見えなかった。

二

ふしぎな現象である。急に、お可久の碁会所へ、常連の寄りが悪くなった。

もっとも、来る事は、相変らず朝となく夜となく来るが、顔が合っても、誰も、碁を打たなくなったのである。一分二分の賭博にも、昂奮が失くなった様子なのだ。