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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

吉川英治『鳴門秘帖(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖、鳴門秘帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 页

青空文庫

やがてであった。

しっかりした道中駕三挺に背丈のそろった駕かき、別に、肩代りが二人ついて、こなたへさしてくるのが見えた。

禅定寺の門前にかかると、ぴたりと足が止まる。一挺のタレをはねて堀田伊太夫、

「ご苦労」

と、草履をとらせて外へ出た。

「オオ伊太夫、ここだ、ここだ」

と、周馬は手をあげて、その姿を呼んだ。

「やあ、旅川。ばかにちょうどよく出会ったな」

「少しもちょうどいいことはない。最前から生あくびをかんで待ちくたびれているんだ」

「実は、山科のほうは、昨日のうちに引き払って出たんだが、途中からつけてくる、うさんくせえ奴をまくために、思いのほか暇どってしまった」

「そうか……がまず、何より心配なのはお千絵だが?」

「お察し申すよ」

「笑ってくれるな、真剣だ」

「あの駕の中にいるから、ひと目覗いてきたらどうだ」

「そういわれると、少しテレるな。しかし、あらかた得心している様子かな?」

「どうして、これからウンといわせるには、まだなかなか骨が折れるふうだぜ」

「江戸へ着くまでの間には、なんとか始末がつくだろう。オ……駕が来れば、もうこんな物をつけている必要はなかった」