轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

う

鵜

山本 周五郎

「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页

青空文庫

といっただけで、振向きもせずに出ていった。

「おかしな旦那だ」段平は呟いた、「解せねえひとだ、どういうつもりだかさ――まあいい、おらの知ったこんじゃあねえ」

段平は頭のうしろを掻き、手洟をかんで、薪を割るために裏へまわっていった。

城下町からその淵まで、約一里二十町ばかりあった。はじめの一里は殆んど田圃の中の平らな道で、あとは坂道になり、終りの五、六町は特に急勾配の登りだった。梅雨のあけたあとで、日は暑く、平らな道は埃立っていたし、坂にかかると汗だらけになった。――そしてまた、竿と餌箱があるので、断崖をおりるのにも骨が折れた。

「こんなふうに触られると擽ったいだろうな、たぶん」

断崖の途中で休みながら彼は呟いた。

「擽ったいかもしれないがね、おい」と半三郎は断崖に向って云った、「どうかおれを振り落さないように頼むよ」

下へおりると川風があった、彼は初めて手拭を出して埃と汗を拭き、平らな爼板岩の、日蔭になったところへ腰をおろして、すっかり汗のひくのを待った。それから竿の支度をし、岩の端へゆっくり腰を据えたとき、彼は岩を手で叩きながら云った。

「頼むぜ、きょうだい」