轻松读懂日语经典作品
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う
鵜
山本 周五郎
「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页
四
「いや、笑うから」
「云ってごらん」
「ただこ」と女が云った。
「ただこ」と半三郎が云った。
女が泣きだした。半三郎は女を抱いたまま左右に揺った。そしてもういちど囁いた。
「ただこ、――」
四
二人は毎日のように逢った。
雨の降らない限り、一日として逢わないことはない。女はいつも川上のほうから、棚瀬をすべって淵へ来た。そうして、淵を下のほうへくだって去るのである。淵から下のほうに、誰かが着物を持って待っているらしい。名はさだ、――ただこというのは幼いころ自分で訛って呼んだものだという。年は二十歳くらいだろう。……言葉つきや動作で、(わざと乱暴にしているが)武家そだちだということはわかる、しかしそのほかのことは、なにを訊いても答えなかった。
「あたしをただこのままにしておいてちょうだい」と彼女はいつも云った、「あなたは初めに、あたしの生れてきたままの、どこも隠さない――ありのままの姿をごらんになったわ、いまだって裸のままでしょ、これがただこよ」
「おれはすっかり知りたいんだ」
「これがあなたのただこよ」と彼女は云うのであった、「着物を着ておつくりをしたあたしは、もうただこではないし、あなたとは縁のない女だわ、ねえ、あたしをただこのままにしておいてちょうだい」