轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
う
鵜
山本 周五郎
「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页
――肌は眩しいほど皓く、水が冷たいためだろう、ぜんたいが薄桃色にあかるんでいた。
半三郎がそれらを見たのは殆んど一瞬のことであった。ほんの「一瞥」というくらいのものであるが、その印象の強烈さは類の少ないものであった。
半三郎はぎょっとし、そして両方の眼をつむった。眼をつむったうえに、両手で(そのつむった)眼を押えた。すると、持っていた釣竿が落ち、岩角で跳ねて、川の中へ落ちこんでしまった。彼は気がつかなかった、やや暫くそうしていて、やがておそるおそる眼をあけてみた。それから身を跼めて、淵の上下を眺めやった。――そこにはもうなにもいなかった、青澄んだ重たげな水が、表面に皺をたたみながら、ゆっくりと流れているばかりだった。
「幻か」半三郎は呟いた、「眼がどうかしたのか、いや、慥かに、……こんなに心臓がどきどきしている、きょうだい」彼は岩の面を叩いた、「いまのはなんだ、淵の主でも化けたのかい、頼むぜ、あんまり吃驚させないでくれ」
彼は暫くのあいだ茫然と、気でも喪失したように、岩の上からじっと水面を見まもっていた。
竿を流してしまったから、その日は早く帰った。