轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

そして、顴骨から下が断崖状をなしている所を見ると、その部分の表出が険しい圭角的なもののように思われ、また真直に垂下した鼻梁にも、それが鼻翼よりも長く垂れている所に、なんとなく画策的な秘密っぽい感じがするのだった。旗太郎は摺れ違いざまに、肩口から見返して、

「オリガさん、御安心下さい。何もかも、お聴きのとおりですから」

「ようく判りました」とクリヴォフ夫人は鷹揚に半眼で頷き、気取った身振をして答えた。「ですけど旗太郎さん、仮りにもし私の方が先に呼ばれたのでしたら、その場合の事もお考え遊ばせな。きっと貴方だって、私どもと同様な行動に出られるにきまってますわ」

クリヴォフ夫人が私どもと複数を使ったのに、ちょっと異様な感じがしたけれども、その理由は瞬後に判明するに至った。扉際に立っていたのは彼女一人だけではなく、続いてガリバルダ・セレナ夫人、オットカール・レヴェズ氏が現われたからだった。セレナ夫人は、毛並の優れた聖バーナード犬の鎖を握っていて、すべてが身長と云い容貌と云い、クリヴォフ夫人とは全く対蹠的な観をなしていた。暗緑色のスカートに縁紐で縁取りされた胸衣をつけ、それに肱まで拡がっている白いリンネルの襟布、頭にアウグスチン尼僧が被るような純白の頭布を頂いている。