轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
二
これで死ぬのかな、と彼は思った。いや、そんな筈はない、まだしたいことがたくさんある、しなければならないこともずいぶんある。けれども、どんなことをしても、これでいいということはないだろう。人間のすることには限度がある、どんなに能力のあるだけを注入しても、それで万全だという状態はないと思う。
「そうだろうか」と彼は呟いた、「――本当にそうだろうか」
二
松山隆二の骨ばかりのように痩せた、殆んど血のけのない顔。そしてくたびれた背広や、乾いて歪んだ、埃だらけの靴を見たとき、竹中啓吉は、もうこれは助からないな、と思った。
「おめえ」と彼は振り向いて娘に云った、「いつごろこの人をみつけただかえ」
娘のりつ子はちょっと口ごもった、「あたしが」と十四歳の彼女は云った、「――あたしが萱を背負ってうちへ帰ったのよ、二度もこの人を見たの、眠ってるんだと思ったんだけれど、三度めに見たときも初めと同じまんまで、ちっとも動かないの、それで呼んでみたら返辞もないし、まるでしびとみたいでしょ、だからあたし、村長さんのとこへお父さんを呼びにいったのよ」
竹中は頷いた、「りつ子は医者へいきな、その提灯を持ってな、おれはいいよ、おれはこの男をうちまで背負ってくから、医者をうちへ伴れて来るんだ、医者のうちはわかってるな」