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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页

青空文庫

そして古今の経書詩文を論ずること、三日に及んだけれど、いつかな青年は屈しない。

そこで、張華は考えた。

自分は、いままで随分交友は広い。また学界のことについては、寡聞の方ではないと思う。だが、今の天下にこんな博識にして蘊蓄の深い人物がいるとは、聞き及ばなかった。しかも、白面の青年じゃないか。あるいはこれは、人間じゃあるまい。魔性の物が、自分をからかいに来たのかも知れぬ。

と疑いを起こしたのである。

そこで張華は、用事の振りして室の外を出て、家僕に命じて邸内の入口という入口をすべて塞いでしまった。そして、座敷を改めて青年を厚くもてなし酒肴を勧めて、その鬼才なるを賞めあげた。

座が興に入ってきたところを見計らって、家僕がその家の猛犬を追い込んだ。ところが、犬はきょとんとして、猛犬たる使命を発揮しない。

なに食わぬ顔をしているどころじゃない。主人の傍らへ走って行って、膳の上の肴に口をつけるという案外の状況である。

客の青年はと見ると、泰然自若として、やはり人間だ。

そして哄笑しながら、張華先生足下は、国家の棟梁じゃないか。食を吐きて土を入れ、賢者を進用し、不肖者を黜退すべき、地位にあるのであろう。