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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
それだけいったら、村上さんは室から出て行ってしまった。
私は、あっけに取られて、ぼんやりしたのである。新聞社というところは、なんと不可解のものである哉と思った。
私は喜んで、途中で想いだし笑いをしながら丸の内の野っ原を歩いて、駿河台の南甲賀町の下宿へ帰った。
二
入社してみると、社長が箕浦勝人、社主が三木善八、主筆は須崎默堂、編集局長村上政亮などという偉い人物ばかり。中堅から少壮記者には五、六年前まで京成日報の社長であった高田知一郎、いま進歩党の幹事長である田中万逸、元AKの放送部長煙山二郎。趣味方面には相撲の生駒※(「皐+羽」、第3水準1-90-35)翔、美術の佐瀬酔梅などという錚々たる記者がいて、なにがなんだかただ眼が眩んで仕事のことなどさっぱり分からない。
現在小説を書いている矢田挿雲、野村胡堂、料理屋通の本山荻舟、朝日新聞の前重役原田讓二などという記者は、私よりいずれも二、三年おくれて入社してきたのであった。野球の飛田忠順などまだ早稲田の学生で、小遣い稼ぎに報知新聞の野球記事の嘱託をやっていて、夜になるとスコアーブックを持って編集局へやってきた。