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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
闇で鯖の乾物でも買って食べたいと思ったが、そんな手蔓はない。
そこで、娘に蝗を捕らせて食った次第であるが、動物を食べたのは数ヵ月振りだ。これで一盃あれば結構な話であるけれど、三月から十一月までに、ただの一回、僅かに二合の合成酒が配給されたのみ。
明日から、自ら田圃へ出動して蝗を捕ることにきめた。蝗はもう霜に逢っているから羽が強くきくまい。何匹かは捕れるであろうと思う。しかし、世の中には蝗などいう虫けらは食わんと毛嫌いする人があるが、それは食わず嫌いというものだ。
元来、蝗は関東から東北地方の人々が好んでよく食う。信州や北陸地方の人々も、酒の肴にする。支那でも盛んに食い、中央亜細亜方面では佳饌のうちに加えられてある。
昔、京の禁裡から白面金毛九尾の狐を祈り払った陰陽博士阿部晴明は、母の乳よりも蝗が好物であったというから、彼は幼いときから蝗をむしゃむしゃ、やったものと見える。晴明は、信田の森の葛の葉という狐が生んだ子供であるという話だが、そういえば先年北軽井沢の養狐園を視察したとき、園主から狐は蝗をひどく好むという説をきいたことを記憶している。
予言者ヨハネは、蝗と野の蜜蜂を常食にしていたという記録がある。