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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
四
あば辰は、こういってから樺太を顧みた。あば辰は、また大きな掌の金歯を握ったまま、往来を小走りに西の方へ向かって走りだした。樺太が、その後に従った。
――呑むことに同意しないでよかった――
と、私は思った。
それから一時間待てど、二時間待てど二人は帰ってこなかった。私は、自分の掘った土管を掃除してから、さらに二人の分も掃除して、元のように土管を埋めた。そして、湯屋の番頭を呼んで通水させてみた。掃除は、立派に終わったのである。もう、夕方になっていた。
しかし、それでも二人は帰ってこなかった。どうしたのであろう。
私は、湯屋から三円あまりの手間賃を貰ってから、いろいろの掃除道具をリヤカーに積んで親爺の家へ帰った。だが、二人は親爺の家へも帰っていない。
四
私は親爺に一部始終を語った。
「そうか、ご苦労だった。あいつらはほんとうは碌でもねえ野郎共なんだ。ずらかったんだ」
親爺は低い声で呟いた。
湯屋から貰ってきた手間賃を渡すと、親爺は分を引いた残りの二円あまりの金を私にくれたのである。三人で一日働いたのであるならば一人前七、八十銭にしかならぬのであろうが、私は三人分を一人で貰ったのだ。