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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页

青空文庫

「うん、酒か、そうさな」そしてだるそうにどこかを掻いて云う「まあそんなことにでもするか」

酒を買って来て、燗をして出してやれば、出してやるだけ飲む。黙って飯にすれば、彼は黙って飯を食う。もう一本つけろとか、これでやめようなどと云うことは決してない。煙草も同様であり、遊蕩も同様であった。

「仕事はどうするのさ、仕事をしてくれなくちゃ困るじゃないか、伊勢屋さんからせっつかれて、あたしゃ返辞のしようがありゃしない、いったいあんたどうする気なのさ」

「どうもしねえさ」弥六は欠伸をする、「どうもしねえし、またしたくもねえさ」

仕事をしなければ、顧客は減る。しぜん収入がない。夫婦の情愛で、女房が賃仕事などをして二年ばかりはその日をしのいだ。けれども情愛は無限大ではない、女房は飽きてきた。そうして家主の平作老に相談した。

「そうだろうね、無理はねえ、無理はねえと思うが」と家主はさすがに、年だけの分別はみせた「ともかくおれがいちど意見をしてみよう。それでいけなければしようがねえが、まあいちおうそのようすを見てからにしたらいいだろう」

平作老は、意見をしにでかけていった。