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パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页

青空文庫

彼等が双方とも、余り教室へ顔を見せない方だったのと、人見廣介が軽度の近眼で、始終眼鏡を用いていたのとで、二人顔を合せる機会が少く、顔を合せた所で一方は眼鏡がある為、遠方からでも十分区別することが出来たものですから、さしたる珍談も起らないで済みましたが、それでも、長い学生生活中には、笑い話の種になる様な事柄が一二度ならずありました。それ程彼等はよく似ていたのです。

その所謂双生児の片割が死んだというのですから、人見廣介に取っては、外の同窓の訃報に接したよりは、いくらか驚きが強かった訳ですが、でも、彼は当時から、まるで自分の影の様な菰田に対して、彼等が余りに似過ぎている為に却って嫌悪の情を抱いていた位で、無論悲しみを感ずるという程ではありませんでした。とは云え、この出来事には何とも知れず人見廣介をうつものがあったのです。それは悲しみというよりは驚き、驚きというよりは、何かこう、妙に不気味な、えたいの知れぬ予感の様なものでありました。

併しそれが何であるか、相手の新聞記者がそれから又長い間世間話を続けて、さて帰って了うまで、彼は一向気づかないでいたのですが、一人になってから、妙に頭に残っている菰田の死について、色々と考えている内に、やがてある途方もない空想が、夕立雲の拡がる時の様な、早さ、不気味さで、彼の頭