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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

第十四講 ビルダデ再び語る

第十八章の研究

人間心霊の歴史としてヨブ記の優秀はここに在る。人の霊魂の産の劬労は実にこれである。かかる道程を経て進歩するのである。さればヨブ記の実験記たるはますます明かである。第二回論戦に入りては、ヨブの失望は第一回論戦の時よりも一層深くなったように思える。しかしその間に光明の閃耀次第に著しくして、徐々として進展の階段を攀ずるのである。独りヨブに限らずすべて心霊の悩みはこれであって、同一の経過を経て遂に救に入るのである。

第十四講 ビルダデ再び語る

第十八章の研究

◯第二回論戦はエリパズに依て開始せられ、それに対してヨブは十六章と十七章を以て報いた。さればこのたびはビルダデの語るべき場合となったのである。彼はなかなかの学者である。頭脳明晰にして、組織だった宇宙観、人生観を有せる人である。故に彼の言う所は常に理性的にして、その論理は整然としておる。彼の如き明晰にして鋭敏なる頭脳の所有者には、ヨブの返答中に前後矛盾の点甚だ多きことがすぐ分るのである。故に彼はヨブの返答中、その所言を打ち破らんと頻りに頭脳を働かせおりて、いよいよヨブ口を閉ずるや、猛然としてヨブの弱点を衝いて肉迫したのである。