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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

等の疑問に対して、これを人類共通の問題として答うるのである。

◯三友のヨブ攻撃は依然として続けどもヨブに何ら教うる所なく、次に青年エリフ堪りかねて仲裁の語を発し(三十二―三十七章)、それは多少ヨブを慰むる所あったが、勿論ヨブに充分の満足を与えずして、ヨブはただ沈黙を以てこれに応じたのみであった。けだし最後の問題はヨブが直接神の声を聴くことである。彼はみずから父の御声に接せずしては、満足しないのである。彼はこの神秘境を味わずしてはその霊魂に真の平安を得ることは出来ぬのである。人の声は人を救うことは出来ぬ、神の声のみ人を救い得るのである。

◯ヨブのこの願は十三章に示されている。「視よわが目これを尽く観、わが耳これを聞きて通達れり、汝らが知る所は我もこれを知る、我は汝らに劣らず、しかりといえども我は全能者に物言わん、われは神と論ぜんことを望む」(一―三節)とある。また三十一章三十五節には「ああ我の言う所を聴き分るものあらまほし(わが花押ここにあり、願は全能者われに答え給え)」とある。ヨブは神の声を聴かんことを熟知したのである。そしてこの熱望は次に希望となり、確信となっている。