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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

神の作物たる聖書と天然、この二を学びて初めて神を知り得、また益々深く彼を知り得るのである。

◯十一節―二十五節は七節―十節とその精神を等しくする。彼は天然物を通して神の全智全能を学び、これはこの世に臨む神の支配を通してその測りがたき智と抗しがたき能力とを知る事を述べている。「智慧と権能とは神にあり、智謀と穎悟も彼に属す」る事を、この世の各方面にわたりて実証している。辞句の意味は説明せずして明かである。

◯十一章と十二章を通ずる問題は神智の探索である。それについて記さるるすべてが、貴き真理の提示たるは明瞭である。天然を通じ人事に徴して神智神能の絶大を知るほか、なお一事を知らずしては、我らの神に関する知識、また救に関する知識は不充分である。なお一事とはすなわち罪の自覚である。ヨブが己を以て正しとなすは大なる過誤である。この誇り彼にありて彼はいまだ救われず、彼の知識は不具である。彼れわが罪の自覚に達し(勿論友の想像せる如き有形的罪悪の意にあらず)神の前に己を卑うするに至って彼の救は成立し、彼の知識は全きに至るのである。それまでは暗中の彷徨である、しかし光明に向っての暗中の彷徨である。