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なのかななよ

七日七夜

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1951(昭和26)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,818 字 · 36 页

青空文庫

「おい千代、薬をあげるんじゃねえのか」

などと声をかける、絶えず昌平のことが気になるふうであった。

娘の千代は十八だという。一人娘で、母親に去年死なれたあと、父の身のまわりの世話から店の事まで(佐兵衛たちに云わせると)母親以上に手際よくきりまわしているそうであった。……彼女は始めの二日は殆ど附きっきりで看護して呉れた。熱が高いので絶えず冷やさなければならないし、嘔く物の始末や薬の世話など、夜中でも自分でてきぱきやって呉れた。

「あの晩の騒ぎで町廻りが来たんですよ」五日めの朝、千代はそう云った、「――お父っつぁんが出て、親方のこと親類の者だっていったんですけれど悪かったでしょうか」

「悪いなんて、そんな、……有難いよ」

「お父っつぁんとても心配してるんです。貴方の話を伺って」

千代は薬を煎じていたが、俯向いた眼がうるみ、声が柔かくしめっていた。

「たとえ話し半分としても、とてもそんなお屋敷へはお気の毒で帰せないって、……佐兵衛さんや徳さんもそう云ってましたわ」

「――私にはまだ信じられない、どうしてみんなこんなに親切にして呉れるのか」

昌平は眼をつむって静かに云った。