轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
ものを書き出してから十数年の間に、あんなに嬉しかったことはなく、また今後もないことだろうと思う。嬉しかったのだから、悪びれずに喜んで、こういう雑記を書くことにした。
ついでのことに、少し図に乗って、いい気なことを書くが、一番嬉しかったことは、イギリス式と銘を打たれたことである。実は、若い頃から英国が好きで、留学国としては、一も二もなく英国を選んだのである。私は運がよくて、若いうちに留学が出来た。大学を出て三年して、旧年齢二十八歳で外国へやられたのであるが、当時の日本の物理学界は独逸万能であった。原子物理学勃興時代で、独逸がその方面で世界の花形であり、錚々たる学者が雲の如く輩出した。それで物理の留学生といえば、独逸へ行くものと決っていた。事実、本気で物理学をやろうと思えば、独逸へ行くのが正統であり、また一番有効でもあったのであるが、私は自分の好き嫌いだけの問題で、英国を留学国に選んだ。たしか私一人だったかと思う。そして独逸へ行った連中が、華々しく原子物理学の研究に突入している噂をききながら、私は倫敦のキングス・カレッジの陰気な地下室で、古ぼけた器械を使って、長波長X線の退屈な実験をしていた。