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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
それはかなりの反響があった。こういう仕事の出来る局長は、現代の役人にはないであろう。それにたとえそういう人があっても、その反響などはあまりないであろう。
この勉強時代の後、牧野さんは三十一歳の時に、福井県知事として地方に出て、三十三歳で文部次官に就任された。次官時代には、岡倉天心とはかって、美術学校の創設という意義深い仕事をされた。
牧野さんの外交官生活は、それから後のことである。二年間の伊太利在留の後、ウィーンの公使として、十年近く在勤された。そして明治三十三年の北清事変と日露戦争との波紋を、欧洲の一角で体験された。当時のウィーンは、宮廷政治華やかな文化の香り高い都であった。リストやワグナーの時代から、十年あまりしか隔っていない頃のウィーンでの公使の生活は、非常に興味の深いものであったらしい。
その時代のことは、いろいろ話を聞いたが、『回顧録』にくわしい記録が残っているので略することにする。ただある晩、松濤の御屋敷で、今日は珍しいものを御馳走するといって、古い葡萄酒を出されたことがあった。「ウィーンから帰る時に持ってきたものだが、自分では酒はのまないので、縁の下に放り込んでおいて忘れていた。