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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

大内山には野鳥や野獣がかなりいて、蛇などもたくさんいたらしい。皇太后は少しも慌てる気ぶりをお見せにならないで、両袖でしっかりその蛇の頭と尾とを押えて、そっと縁下にお棄てになったことがあったそうである。畳の上にしゃんと坐って、両袖を張って、その身振りをしてみせられる峯子夫人の姿には、昭憲皇太后の面影がしのばれるような気がした。

戦争が大分ひどくなった頃、峯子夫人が亡くなられた。その時は牧野さんもずいぶん弱られたらしい。家庭内のすべての仕事は、夫人が全部とりしきっておられたので、あとのことを皆さんがたいへん心配された。しかし牧野さんは、少くも外面的には少しも弱りを見せられなかった。もっとも長男の伸太郎さんの奥さん純子夫人が、立派に老夫人のあとをついで、牧野さんを最後まで看とられたのである。

空襲が大分ひどくなった頃、もう物資もすっかり不自由になっていたが、珍しく鶏を貰ったからというので、武見さんと一緒に伺ったことがある。純子夫人の御料理で、鹿児島の旧いしきたりの鶏汁を御馳走になったのである。一日とか半日とかゆっくり煮込む流儀の料理だそうである。「代々私の家では、こういう風な料理をしたものだ。