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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
それで居住者はもちろん旅行者でも、出国の際には税務署へ行って在米中の収入を申告して、税金を納めて、初めて渡航許可が下りるのである。アメリカでノーベル賞に課税をするかしないかは知らないが、いずれにしても、これはアメリカの税務署の話であろう。これに類似した話がまだ一つ新聞に出ていた。それは湯川さんにこの賞金で研究所を建ててもらおうという話である。これは全く純真な動機から出た話のようであり、あるいは湯川さんがそういう口吻を洩らされたことがあるのかもしれないが、これも可笑しな話である。そういう研究所は、政府が建てるべきものである。丸もうけをした日本の政府が、この上賞金まで横取りするようなことは、なすべきことでない。
こういういろいろな五月蠅い話が出るだけでも、日本人がまだ田舎者である証拠である。英国だったら、例えばC・T・R・ウィルソン先生のように、貰ったノーベル賞金で、剣橋の郊外、美しい緑の土地に、自分の趣味に合った家を作り、応接間兼書斎に、受賞式の記念写真と賞状とを飾って、客毎に写真の説明をしながら、にこにこしていればよいのである。それが賞金を出した人の意志を、最も尊重する所以なのである。