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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

そういうことを威張っていえるのも、落第をした経験があるからである。

つぎの年の入学試験を受けるために、半年くらいしてから、東京へ出て予備校というものに通ってみた。そこで知ったことは、これでは田舎の中学を出た生徒は、入学試験に落第するはずだということであった。受験技術というものが、東京の学校ではちゃんと教えられているのである。都会と田舎の問題は、こういうところにもあることを知った。

予備校は、某私立大学の中にあったので、私立大学の学生の生活というものも、垣間見ることが出来た。弁論大会のようなものをちょっと覗いてみると、髪をぼうぼうにした学生が、紋附の羽織などを着て、官学閥の打破とか、機会均等とかいうことを、大声疾呼して大いに熱弁をふるっていた。この私立大学はあまり有名でもなく、また恵まれない条件下にあったので、こういう熱弁の裏には、何か絶望的な暗いかげがあった。国際間に強国と弱国とがあるように、国内にも特権階級と下積み階級とがあって、それが眼に見えない壁で判然と分けへだてられていることがよく分った。高文〔高等文官試験〕華やかなりし当時の話である。予備校時代にもいろいろな収穫があったわけである。