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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
寺の名を枕石寺とつけるのですって。それはあなたがあの雪の降る夜、石を枕にして門口にお寝みになったのにちなむのですって。それからお師匠様に法名をつけてもらってくれと言っていました。
親鸞 あの人もずいぶん苦しまれたからね。
唯円 私は父が恋しゅうございます。もうずいぶん長く会わないのですから。
親鸞 私はあの雪の朝に別れたきりお目にかからないのだ。あの夜の事は忘れられない。
唯円 すごいような吹雪の夜でしたっけね。私は子供心にもはっきりと覚えています。
親鸞 お前はまだ稚ない童子だったがな。あのころから少しからだが弱いと言っておかあさんは案じていらしたっけ。
唯円 あの時あなたが門口のところで、もうお別れのときに、私を衣のなかに抱いてくだすったのを私は今でもよく覚えています。
親鸞 もう会えるか会えないかもわからずに、どこともなしに立ち去ったのだった。
唯円 師と弟子との契りを結ぶようになろうとは夢にも思いませんでした。
親鸞 縁が深かったのだね。
唯円 (しばらく沈黙、やがて思い入れたように)お師匠様、あなたは私を愛してくださいますか。
親鸞 妙な事をきくね。お前どうお思いかな。